夏の肌トラブル
紫外線トラブル
過度に紫外線を浴びてしまうと、うるおいを維持していくことが難しくなります。肌はバリア機能が失われると、角質をため込んで自らを守ろうとする機能が働き、角質が肥厚。そうなるとスキンケアの浸透が悪くなるので、より肌の乾燥が進むという悪循環に!
紫外線による急性の症状としては、いわゆる日焼け(日光皮膚炎)があります。日焼けでは皮膚の細胞が傷つき、炎症を起こして赤くなったり、ひどくなると水ぶくれ(水疱)を起こしたりします。日光に過敏に反応して皮膚の炎症やかゆみなどが起こる光線過敏症も、多くは紫外線によるものです。また、紫外線によって皮膚の免疫力が低下し、口唇ヘルペスが再発するようなケースもあります。紫外線のダメージが皮膚の細胞に蓄積されると、シミやシワ、たるみの原因となります。こうした紫外線による肌老化を「光老化」と呼んでいます。
虫刺されトラブル
虫刺されは、「虫刺症(ちゅうししょう)」と呼ばれることもあります。虫の毒成分などに対する「刺激反応」、もしくは「アレルギー反応」によって症状が引き起こされると考えられています。症状の現れ方には個人差が大きく、年齢や毒液の量、アレルギー反応の度合いによっても左右されます。
時間が経過するにつれてかゆみを伴い、肌にかゆみを感じてかくと「かゆみ物質」はさらに放出されて、さらにかくことで肌のバリア機能は低下し、外部からの刺激に敏感になっていく……悪循環に陥るのです。かいて傷ついた肌は、細菌などが侵入しやすくなり、化膿や慢性の皮膚疾患などを引き起こすこともあります。さらに完治までに時間がかかってしまうと傷跡が残ったり、色素沈着などを起こすこともあるので、放っておけない肌トラブルです。
汗疹・汗あれトラブル
大量に汗をかいたときは、汗を排出する「汗管かんかん」が一時的につまってしまい、汗が汗管につまって排出されないまま、肌の内側にとどまることで生じる発疹(赤いブツブツ)を「あせも」といいます。汗をたくさんかいたときは、特に注意したいもの。あせもは赤ちゃんによく見られる症状ですが、近年では夏の猛暑などにより、大人や高齢者に起こることも珍しくありません。
また汗には塩分やアンモニアなどの成分がごく少量含まれております。こうした成分が肌を刺激することで皮膚が荒れたり、かぶれた状態になることを汗かぶれ・汗あれと呼びます。元気な肌であればこの程度の外的刺激は問題になりませんが、肌のバリア機能が衰えていると刺激に耐えられず、赤みやかゆみ、痛みなどの炎症を引き起こします。これが汗かぶれ・汗あれの原因です。
ゆらぎ肌
気温も落ち着いてきて、季節は段々と秋に。季節の変わり目は、急激な気温や環境の変化によって体調不良になったり精神的にも敏感で不安定になることがあります。肌も同じように、揺らいでいる状態の肌を文字通り「ゆらぎ肌」といいます。
秋にゆらぎ肌になりやすい原因
夏の紫外線ダメージによるバリア機能の低下
秋の前の季節にあたる夏は、紫外線がもっとも強い時期です。夏の間に浴びた紫外線ダメージは肌のバリア機能を低下させるため、外部刺激に弱い肌を作ってしまいます。
空気の乾燥によるバリア機能の低下
秋になると湿度が低下し、肌が乾燥しやすくなります。
このような状態で保湿ケアを十分に行えていないと、角質層の水分量が減ってバリア機能が低下し、外部刺激に弱いゆらぎ肌になってしまいます。
花粉によるかゆみ・肌荒れ
花粉症は春だけではなく、じつは秋も花粉が多くなる季節。イネやブタクサ、ヨモギなどが飛散のピークを迎えるほか、地域によってはスギ花粉も飛んでいます。こうした秋の花粉による、くしゃみや鼻水、目のかゆみといったアレルギー反応だけでなく、肌の赤みやかゆみといった肌荒れに悩まされる人が少なくありません。この時期の肌は、夏のダメージが蓄積し、バリア機能が低下気味。花粉による刺激が加わることで、肌荒れが起こりやすくなります。
バリア機能の修復
肌バリアの機能を維持するスキンケア
🔵洗い過ぎに注意
肌を清潔に保つことが重要ですが、ゴシゴシ洗ったり、日に何度も洗浄したりすると、かえってバリア機能が損なわれます。汚れをしっかりと落としつつ、余計な刺激が加わらないことを意識して、泡でなでるように優しく洗い、肌に残らないようにすすぎます。また、熱いお湯での入浴や洗顔は避けましょう。熱いお湯ほど肌の保湿成分を奪ってしまうため、さらに乾燥を招いてしまいます。
🟡洗ったあとは保湿をしっかり与えるケア
「与える」ケアも重要です。与えるケアは、うるおいを「満たす」、「溜める」、「逃さない」3つの段階があります。うるおいを守るには、うるおいを満たしキープするのに欠かせない天然保湿因子(NMF)、水分の蒸発を抑え外部の刺激から肌を守る細胞間脂質、バリア機能の役割を果たす皮脂膜等に着目し、ケアする必要があります。
🟣紫外線対策
バリア機能が低下している肌は、紫外線による肌ダメージを受けやすい状態です。地上に届く紫外線は日やけによるダメージを与えるUV-B波(UVB)と、しみやハリ不足の原因になるUV-A波(UVA)に分けられます。「遮光」は紫外線などの太陽光線から皮膚をまもるためにおこなうスキンケアです。
保湿キープの鍵!!
私たちの体内には約1,000兆もの細菌(菌)が生息していると言われています。腸内細菌については広く知られるようになってきましたが、肌にも皮膚常在菌がいて、さまざまな働きをしています。腸内細菌と同じように、よい働きをする善玉菌、増えるとトラブルを起こす悪玉菌、状況によってどちらにもなり得る日和見菌があります。肌に住む善玉菌=「美肌菌」の代表である表皮ブドウ球菌は、皮脂や汗をエサとして脂肪酸やグリセリンをつくり出し、天然のクリームさながらに肌をしっとりさせてくれるのです。これは皮脂膜と言われ、うるおいのベールとなって肌をpH5.5前後の弱酸性に保ち、病原菌の侵入などを防ぐバリア機能を果たします。
善玉菌(美肌菌)代表
【代表的な皮膚常在菌】
表皮ブドウ球菌
役割/皮膚表面や毛穴に存在。汗や皮脂を餌にしてグリセリンや脂肪酸をつくり出す。グリセリンは保湿とともにバリア機能を高め、脂肪酸は肌を弱酸性に保つ
美肌菌を減らすNG習慣/洗い過ぎ、角質を落とすようなセルフケアのやり過ぎ、長時間の入浴
日和見菌代表
アクネ菌
役割/毛穴や皮脂腺に存在。皮脂をエサにして脂肪酸やプロピオン酸をつくり出す。これによって皮膚が弱酸性に保たれ、悪玉菌の増殖を抑える。過剰に増殖するとニキビの原因に
美肌菌を減らすNG習慣/洗浄不足、洗い過ぎ、偏った食生活、ストレス
悪玉菌代表
黄色ブドウ球菌
役割/皮膚がアルカリ性に傾くと増殖して肌荒れや皮膚炎などのトラブルを起こす。皮膚表面や皮脂腺に存在し、存在するだけでは問題はない
美肌菌を減らすNG習慣/ストレス、紫外線、喫煙、間違ったスキンケアなどによる皮膚への刺激